解説
“有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一”である保守王国、富山県。2016年8月、平成に開局した若いローカル局「チューリップテレビ」のニュース番組が「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」とスクープ報道をした。この市議は“富山市議会のドン”といわれていた自民党の重鎮で、その後、自らの不正を認め議員辞職。これを皮切りに議員たちの不正が次々と発覚し、半年の間に14人の議員が辞職していった。
その反省をもとに、富山市議会は政務活動費の使い方について「全国一厳しい」といわれる条例を制定したが、3年半が経過した2020年、不正が発覚しても議員たちは辞職せず居座るようになっていった。記者たちは議員たちを取材するにつれ、政治家の非常識な姿や人間味のある滑稽さ、「はりぼて」を目のあたりにしていく。しかし、「はりぼて」は記者たちのそばにもあった。
本作は、テレビ番組放送後の議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえるその後を追った政治ドキュメンタリー。あっけなく辞職する議員たちの滑稽な振る舞いは、観る者の笑いを誘わずにいられない。追及する記者を含めた私たちは、腐敗した議会や議員たちを笑うことしかできないのだろうか。果たして「はりぼて」は誰なのか?地方からこの国のあり方を問うドキュメンタリーが誕生した!監督の言葉
五百旗頭幸男 いおきべ ゆきお
兵庫県生まれ。スポーツ記者や警察担当などの記者経験を積み、2016年から2020年3月まで夕方のニュース番組キャスターを兼務。見た目は穏やかだが、舌鋒鋭く、これまで数々の社会問題について不正を追及してきた。趣味は休日に子どもとスキーに行くこと。
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砂沢智史 すなざわ さとし
富山県生まれ。営業や編成のデスク勤務を経て2015年春から報道記者に。まじめで素直でとにかくしつこい。コンピューターに精通し、数字にめっぽう強い。変化球が投げられず、取材も人付き合いも常に直球勝負する。趣味はバスケットボール。
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